このたび、我が街立川が誇るブルワリー、立飛麦酒醸造所は、イギリスで開催された世界的なビール品評会「World Beer Awards 2023」のラガーカテゴリー、チェコスタイルピルスナー部門において、なんと世界最高の金賞を受賞しました!栄えある金賞に輝いたビールの名は「立飛Pilsner」。開発と醸造にあたった田中大喜(たなか だいき)さんいわく「雑味がなく澄んだ綺麗なビールを目指した」というビールは一体どうやって造られているのでしょうか。普段は立ち入ることができない工場を特別に見学させていただきました。(写真左からブルワーの田中大喜さん、藤川貴之さん、金炳泰さん)
近頃話題のクラフトビールと、90年代に大流行した地ビール、実は「独立した小規模の醸造所で造られた手仕込みのビール」という意味で根本はほとんど同じもの、であります。
しかしながら、単に「その地方のお土産」的な立ち位置だった地ビールを、さらにおいしく、さらにブラッシュアップするべく試行錯誤を重ねたブルワリーの努力の結晶、それがクラフトビールと呼ばれるようになったのです。
大枠からいうと、ビールは主にラガーとエールの2種類に分類されます。ふたつの違いは発酵の方法にあります。低温で長期熟成させる「下面発酵」がラガー、やや高温で短期間熟成させる「上面発酵」がエールと覚えてください。日本でも人気のあるキレのよいすっきりした味わいのラガー、滋味深くしっかりとした飲みごたえが人気のエール、どちらにも魅力的なおいしさがあります。そしてこれらを合わせると、クラフトビールは150以上の種類があるんです。その中から我が口にぴったりな至高の一杯を得るには、それはもう飲むしかありませんね(ほどほどに)。
それではついに、世界一に輝いたビールが造られている醸造所を見学させていただきましょう。
ビールの基本的な原材料は、「麦芽(モルト)」、「ホップ」、「酵母」、「水」。その中でもビールをビールたらしめる原材料として最も大切な麦芽は、発芽させた大麦や小麦を乾燥、焙煎させたものです。立飛麦酒醸造所ではイギリス、ドイツ、ベルギーから仕入れた麦芽10種類の中から3〜4種類を組み合わせてビールを仕込んでいます。写真は麦芽の保管庫、焙煎の度合いによって色合いがこんなにも違う麦芽、収穫したホップを乾燥させて粉砕し、ペレット状にしたホップ。
ビールを作る際に必要な、麦芽に含まれるデンプンをより抽出しやすいように、まずは麦芽を粉砕します。そもそも麦芽とは、発芽させた大麦や小麦のこと。発芽によって酵素が生まれ、それが糖化してデンプンになることで、発酵しやすくなるのです。
粉砕した麦芽は、マッシュタンクと呼ばれるお湯の入ったタンクで「糖化」という工程に入ります。この時、麦芽のデンプンは酵素によって糖へと変化。糖化されてできた液体が「麦汁」です。
次に、麦汁を100℃の煮沸釜で煮沸します。このタイミングでビタリングホップ、アロマホップといったホップを投入。立飛ビールでは、アメリカ、ドイツ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドから取り寄せたホップを使っています。コリアンダー、オレンジピールなどの副原料も、煮沸のタイミングで加えます。
完成した麦汁を発酵タンクへ移して、酵母を加えます。麦汁の糖分を酵素が食べることにより、アルコールと二酸化炭素(泡)が生まれ、ビールが誕生するのです。ラガーは 10℃で約 2 週間、エールは 25℃で約 1 週間など、温度管理を徹底しながら発酵させます。
できあがったビールは、貯蔵タンクで寝かせることで、まとまりのある味わいになります。ラガーだと 1℃で 2 ヶ月ぐらい「貯酒」しています。
手塩にかけたビールがいよいよ完成し、出荷段階に入ります。工場内の機械で、一本ずつラベリングして、TACHIHI BEER となるのです。
立飛麦酒醸造所開設 2 周年記念のビールは、その名も「WHITEDEVIL」と「BLACK ANGEL」。ホップの苦味と香り華やかなウィートラガーのホワイトデビル、一見ダークで重たそうなのに実は口当たりやわらかなデュンケルのブラックエンジェル、まさにテーマの「相反するイメージ」にぴったりな 2 種です。
作りたての立飛ビールを味わいたくなったら、工場に併設されたタップルームにぜひ。常時オンタップしている生ビールを存分に味わえるほか、ボトルも購入できます。せっかくなのでいただいた「立飛 Pilsner」は本当に、クリアーで綺麗な味!何杯でも飲めてしまいそうな飲みやすさも魅力ですね。
ここからは、立飛ブルワリーの定番ビール 3 種類の味わいと、それぞれに合う料理をご紹介したいと思います。お好みの組み合わせを見つけてくださいね。
イギリス発祥の黄金色〜銅色のビール。アメリカンエール酵母で仕込んだ立飛ペールエールは、ホップやモルトの華やかなアロマに、深みのある味わいが特徴です。「 World Beer Awards2022」で銀賞受賞!
ほどよい苦味と華やかな香りのペールエールに合わせる料理は、しっかりした肉料理がおすすめ。赤身と脂のバランスが抜群な上質のお肉とのペアリングをお楽しみください。写真は那須“後藤牛”を使った和風ハンバーグ
写真提供:SORANO HOTEL
ヴァイツェン酵母で仕込む、いわゆるホワイトビールがこちら。小麦麦芽を50%以上使ったドイツの伝統的なビールです。バナナやクローブのようなフルーティーな香りが特徴です。
やわらかな味わいとほどよい酸味の立飛ヴァイツェンには、フレッシュな野菜料理を合わせて。ビール特有の苦味が苦手な方にもおすすめの組み合わせです。写真は大地のサラダ。
写真提供:SORANO HOTEL
一般的にはジャーマンスタイルが多い中、ピルスナー発祥の地、チェコのボヘミアンスタイルを継承したラガービール。金色に輝くキレのよいのどごしに思わず「くーっ」といきたくなります。日本で一番よく飲まれているビールの味わいに近いかも?!
すっきりとしたラガービールはどんな料理にも合いますが、特に澄んだ味わいの立飛ピルスナーは、繊細な日本料理にもぴったりです。旬の味覚と共にご堪能あれ。写真は天麩羅。
写真提供:SORANO HOTEL
※立飛ゴールデンエールはご好評につき終売となりました。
ご来店の際は直接店舗に営業時間の確認を行なっていただいた上でのご来店をお勧めいたします。