4月の緊急事態宣言以降、この時代を生きる私たちは、
自由に出歩くこともままならない禍中で 最も影響を受けたといわれる個人店。
自粛や時短営業という厳しい状況に負けず、 新しいスタイルや取り組みに挑戦している立川の6つの店主たちに、 自粛中からこの先の展望を伺いました。
※取材のため、マスクをとって撮影にご協力をいただきました。通常はマスクを着用して営業しております。
オンラインショップと「花プレゼント」で感謝と応援の花束を
おうち時間を楽しむスイーツと大切な人へのギフト
お客様との強い絆で危機を乗り越えた!フランス料理店の挑戦
本格ビストロの味を自宅で!テイクアウトメニューとワインの量り売りが話題
食で応援!環境問題にも取り組む鉄板焼き屋さんのアツい思い
「安全第一」で誠意ある経営スタイルを貫くやきとり屋さん
オンラインショップと「花プレゼント」で
感謝と応援の花束を
五日市街道沿いにある植木の老舗生産農家「滝島園」の敷地内にある蔵をリノベーションした個性的な花屋さん。旧家の蔵が醸し出すアンティークな空間と、店主のセンスで選ぶ花々が絶妙にマッチした個性的な雰囲気が、オープン以来SNSなどで瞬く間に話題に。今回は、コロナ禍の中で取り組んだというオンラインショップの立ち上げと、地域の事業所への「花の寄付活動」について、オーナーの滝島 聡(たきしま さとし)さんと店長の浅井祐子(あさい ゆうこ)さんにお話を伺いました。
東京都の緊急事態宣言を受けて店舗営業を自粛していた期間中、直接お花を買いに来ることができないお客様のために、コトハではいち早くオンラインショップを立ち上げたそうです。
「こんな時だからこそ花や緑に癒されていただきたかったですし、母の日も近かったので、帰省もままならない方が利用できるよう、オンラインショップのシステムを整えることが先決でした」と浅井さん。
InstagramやFacebookなどで積極的に情報を発信したところ、母の日のギフトでは100件以上のオーダーが入ったそうです。
さらにコロナ禍の影響で市場で値崩れが起こってしまった「生産者・店舗・お客様」間の流通を回復させるべく「花絆 Stay Home 花セット」のオンライン販売をスタート。おまかせで届く花の詰め合わせセットがSNSで反響を呼びました。購入していただいた方に向けて花の扱い方や花瓶に活ける方法などをレクチャーした動画配信も好評だったとか。
コトハの活動はそれだけでは終わりません!「花絆 Stay Home 花セット」の売上の一部を使い、緊急事態宣言後も感染のリスクを抱えながら現場で働いている事業者や従事者への感謝と応援を込め、なんとお花のアレンジをプレゼント。SNSなどで募集をかけたほか、地域の事業所に直接声をかけ、感謝の気持ちを伝えるメッセージカードを添えて保育園や介護施設、銀行、コンビニエンスストアなど11箇所に贈りました。
「生花ということもあり、衛生面の観点から、最前線にいる医療従事者への寄付はできませんでしたが、地域での社会生活の維持に必要な業種の方々に、感謝の気持ちをお届けできたかなと思います」と笑顔を見せる滝島さん。
コンビニエンスストアで働くパートさんたちから「お店に綺麗なお花があると気持ちが和むわね」と喜んでいただけたり、お花を贈った保育所や介護施設から感謝の手紙を受け取ったりと、花を通じてしっかり絆を結ぶことができたようです。
第二波が心配される新型コロナウイルスですが、コトハではどんな方針でこれからの日々に向き合っていくのでしょうか。おふたりに伺ったところ、「まず家族が第一」と同じ答えが返ってきました。
「商売をしている以上は、お店にたくさんのお客様が来てくださることがベストですが、命や健康に関わるような事態では、仕事よりもまず家族が第一だと思うんです」と滝島さん。
「そこには自分たちの家族だけではなく、お客様の家族も含まれているんです。私たちは対面のその先にある関係の安全まで考えなくてはいけないと思うんですよ」と浅井さん。
「お店をオープンしている日は、ソーシャルディスタンスを保つために入場制限を設けるなどの工夫をしたり、やむをえずまたお店を閉めなくてはいけない状況になっても、オンラインショップでの販売やSNSでの情報発信に力を入れたり、自分たちにできることをやっていきたいですね」と今後の展開についても前向きなおふたりでした。
「これからもお花の持つ癒しの力を届けていきたいです」と笑顔を見せる滝島さんと浅井さん。取材当日もひっきりなしにお客様が訪れていた蔵の花屋コトハ。中にはSNSを見てファンになり、昭島から来たというお客様も。お花はもちろん、おふたりのポジティブマインドのパワーにも引き寄せられているのかもしれませんね。
おうち時間を楽しむスイーツと
大切な人へのギフト
立川通り沿いにある、鮮やかなオレンジ色の看板が目印のケーキ屋さん。木のぬくもりを感じる店内には、自慢のケーキと焼き菓子が並んでいます。「人と人をつなぐような、地元に愛されるお店でありたい」という店主の思いが伝わるアットホームなお店です。
何かとストレスが溜まりがちな自粛期間中、見目麗しく美味しいスイーツでおうち時間を楽しく過ごしたいと思われた方も多いかもしれません。そんなお客様がパティスリーツナグにも毎日いらっしゃったそうです。
「リピーターのお客様だけでなく、新規のお客様が立ち寄ることがよくありました。普段だったら仕事で不在の方などがステイホームされていて、散歩の途中で前を通りかかったというようなケースが多かったですね」と話してくださった、オーナーパティシエの長谷川雄二郎(はせがわ ゆうじろう)さん。
定番のシュークリームや季節の果物を使ったケーキなど、選ぶだけでも気分が上がりますよね。
生菓子を作って販売するため、何よりも衛生面に注意しているというパティスリーツナグでは、 お店の入り口にアルコールスプレーを設置するなど、お客様に安心して買ってもらえるための対策をしっかり行っています。
「うちに来てくださるお客様は皆さんマナーがとても良く、こちらが言わなくてもソーシャルディスタンスを保ってくださったり、前のお客様がいらっしゃる時は次のお客様が外で並んでくださったりと、本当に助かっています」と長谷川さん。
大好きなお店を地域のお客様が優しさと礼儀で支える様子が自然と生まれるなんて、とっても素敵ですね。
「今年は自粛要請があって帰省もままならない事情があったからか、母の日には焼き菓子配送の注文などがありました。バースデーケーキのオーダーも多いですね。今後も地域のお客様やお客様のご家族に向けて、心を込めて美味しいケーキやお菓子を作り続けていきたいと思います」と話す長谷川さん。
定番スイーツ以外にリピーターのお客様が飽きないためにも、月に一度は季節の果物などを使った新作ケーキを作っているのだとか。たらった立川を読んでくださっている大人世代の皆さん、大切なお子さんのお誕生日はもちろん、ご自分の誕生日にも1年間のご褒美にバースデーケーキをプレゼントしてはいかがでしょうか?Twitterで情報発信もしているので、ぜひチェックを。
お客様との強い絆で危機を乗り越えた!
フランス料理店の挑戦
立川駅南口で17年、伝統的なメニューに個性が光るフランス料理店。全国から取り寄せた旬の食材の魅力を存分に引き出した五感に響く料理と、パティシェであるマダムが作る繊細なデザート、そして長年のお客様との信頼関係が最大の強みです。本物のフレンチを自宅で楽しめるテイクアウトメニューや宅配便の充実、さらにピンチの中で実施したクラウドファンディングを、なんと200%以上の結果で成功させたオーナーシェフの大澤聡(おおさわ さとし)さんにお話を伺いました。
外出自粛の動きに伴い、時短営業を余儀なくされるなど多くの飲食店が同じ悩みを抱える中、大澤シェフが意欲的に考案したテイクアウトメニューはその名も「お家 de ヴァンセット」。
彩りの美しい前菜の盛り合わせと選べるメインの肉料理、自家製パンが2個ついたセットを3,500円で提供(税別)するほか、スープやオリーブとグリエールチーズのパウンドケーキなども販売しています。
さらに「ヴァンセット シェフ大澤からの挑戦状!」と名付けられた宅急便で、ヴァンセットの料理を配送。気になる内容は、スープ、テリーヌ、季節野菜のグレック(マリネ)のほか、牛頰肉の赤ワイン煮込み、小鴨のコンフィ、子羊と豆の煮込み、豚肩ロースの煮込み、鮮魚とブイヤベースなどの中からメインを選べるボリュームたっぷりのメニュー。
「肉を焼いてソースと合わせるなど、仕上げを少しだけお客様にも手伝っていただきます」と大澤シェフ。
遠方に引っ越してしまってなかなか来店できないお客様にも好評で全国各地から注文があったほか、「コロナ 見舞い」のギフト配送も多かったのだそうです。
「お家 de ヴァンセット」
「ヴァンセット シェフ大澤からの挑戦状!」
しかしながら3月、4月と予約のキャンセルが相次ぎ、窮地に陥ってしまったというヴァンセット。
「2003年のオープン以来、料理だけでなくその時間をお客様に楽しんでもらえるレストランにしたい一心で続けてきたお店とスタッフの雇用を守るために、なんとかしなくては…!」そこで大澤シェフは一念発起、クラウドファンディングに初挑戦しました。すると「大好きなお店がなくなってほしくない!」「どうなっているかと心配していたが、ちゃんとお店がやってて良かった」などたくさんの応援メッセージとともに、目標額だった100万円の2倍も上回る支援が届けられたのです。
「本当にびっくりしました。17年間の積み重ねの中で築き上げてきたお客様との強い絆を実感できたことが何よりも嬉しかったです」と大澤シェフ。「これからもお客様と一緒に成長してゆく店でありたい」と決意したそうです。
現在ヴァンセットでは、ウイルス予防策としてスタッフの体調管理や体温チェック、手洗いうがいの徹底や換気、ランチとディナー営業前後のアルコール消毒などを徹底しています。第二波が懸念される今後についても、引き続きテイクアウトや宅配メニューに力を入れると同時に、ウーバーイーツや出前館などを利用した低価格の「バーチャルレストラン27」にも取り組んでいきたいという大澤シェフ。
「こちらはフレンチにこだわらず、ステイホーム中の健康に気を遣ったヘルシーなメニューや、無添加食材を使ったカレーなども提供できたらなんて色々なことを考えていると、夜も眠れないんですよ」と笑顔を見せる。
コロナや不景気に負けない大澤シェフのチャレンジ精神に、元気をお裾分けしていただいた取材陣でした。
本格ビストロの味を自宅で!
テイクアウトメニューとワインの量り売りが話題
上から読んだら「TEPATOMOKA」、下から読んだら「鴨とパテ」。本格的なフランス料理とナチュラルワインをリラックスして気軽に楽しめるビストロです。この春は閉店せずに時短営業やテイクアウトメニューに切り替え、コロナ禍を乗り切りました。SNSでの発信力とお洒落なセンスが話題を呼んでいるテパトモカのマネージャーでソムリエの塚田雄大(つかだ ゆうた)さんに、逆境の中でも人気店であり続けるための努力とアイデアについて、インタビューしました。
テパトモカの味を自宅で楽しんでいただけるようにと考案された「持ち帰りシリーズ おうちでTEPATOMOKA」。
メインディッシュのプレートは、合鴨のコンフィ、鴨豚合挽 自家製ソーセージ、鯖のスモーク、マグレ鴨のロティ バルサミコソースに、付け合わせでポテトサラダやキャベツのマリネ、インカのめざめフライがついたボリューム満点の内容。2人分3,500円から人数に合わせて提供しています。
ほかにも仏産特大鴨コンフィ弁当1,500円や手軽な日替わりテイクアウトランチ1,000円など、1人でも大人数でも楽しめるバラエティ豊かなメニュー展開。
「緊急事態の中、お客様からたくさんの励ましの言葉をいただき、ありがたかったです」と振り返る塚田さん。「日頃の感謝の気持ちを込めて、スペシャルプライスで提供させていただきました」とおっしゃる言葉通り、大満足のメニューばかりです。
テイクアウトのお弁当、ランチプレートについては、気温の上昇に伴い、秋頃までお休みする予定とのこと。オードブルとメインプレートは継続して販売中だそうですよ。
「持ち帰りシリーズ おうちでTEPATOMOKA」
看板メニューのパテアンクルートやパテドカンパーニュなどのテリーヌを含め、ワインにぴったりのお惣菜が盛り沢山!メインディッシュと一緒にオーダーすれば、ほかに何もいらない!というぐらいのボリューム感です。
色とりどりの季節野菜をふんだんに使ったオードブルは、思わずスマホのカメラで撮影して「映え!」と誰かに自慢したくなるような鮮やかさ。
いただきますのあとは、食べた人だけが堪能できる至福の美味しさに舌鼓を打ってください。
「当店では美味しく召し上がりやすい、クラシックでシンプルなフレンチのお惣菜をテイクアウト向けにご用意しています。店内メニューのモダンな雰囲気とはひと味違うテパトモカをお家でお楽しみください」と塚田さん。
「環境に配慮いたしまして、できるだけエコバッグや保冷バッグなどのご持参をお願いしております」とのこと。
人数、もしくはおなかの空き具合に合わせてオーダーできるのが嬉しいですね。当日オーダーも可能な日があるそうですよ。ぜひ気軽にお問い合わせを。
新型コロナウイルスの影響を受けている飲食店への国税庁による救済措置として「期限付酒類小売業免許」が付与されたことから、テパトモカでもワインのテイクアウト販売をスタート。
オードブルやメインディッシュに合うワインをソムリエのセレクトで提供するほか、拘って選んだハウスワインも、瓶などの容器持参で500ml 1,500円、750ml 1,800円と大特価で量り売り。さらにはグラスワインのテイクアウトまで…!イタリアの老舗グラスメーカー製の密閉蓋がついたワインコップは、振っても横にしてもこぼれない 優れもの。初回はグラス代含めて1,200円、次回グラスを持参すると500円で購入できるそうです。家では作れないプロのフレンチに美味しいワインを好きなだけだなんて、ちょっと夢のようなテイクアウトメニュー。思わず通いつめたくなる気持ちがよくわかります。
「これからも国と都の要請は遵守しつつ、衛生面では細心の注意を払って営業を続けていきます」と話す塚田さん。コース料理なども大皿でシェアしていただくのではなく、1人ひと皿で個別にサーブしているそうです。
「これまでは、比較的カジュアルなフレンチをと考えてきましたが、今後は料理の質をさらに上げて本質的な美味しさをお客様に提供できるよう、日々邁進していきたいです。おかげさまでインスタグラムのフォロワー数もどんどん増えているので、SNSでの発信も楽しみにしていただければ」と笑顔を見せる塚田さん。
お料理の盛り付けが美しいのは言うまでもなく、写真のセンスがこれまたお洒落なテパトモカのインスタグラム。今日はどんな投稿をアップしているのか気になってチェックしているうちに「ああなんて美味しそう!食べに行きたい!」と思う、そんな素敵なお店です。
食で応援!環境問題にも取り組む
鉄板焼き屋さんのアツい思い
駅前の喧騒を離れた場所に店を構える、地元で評判の鉄板焼きの名店。健康な国産牛と豊洲から届いた鮮魚、立川産の野菜、自家製発酵食品や調味料など、食材には徹底的にこだわっています。ぴかぴかに磨き上げられたカウンターの中で腕を振るうのは、フレンチ出身で2代目店主の武藤充英(むとう みつひで)さん。外出自粛が続く中、近隣の家庭に特製カレーを配ったり、マスクを集めて医療機関に届けたりと常に「今自分たちができること、すべきこと」を考えて活動を続けています。
感染拡大のニュースが連日報道され、先の見えない状況に誰もが不安の中で暮らしていた4月初旬、武藤さんは「飲食に携わっている者として生産者の思いを伝え、食を通じて地域の人たちを笑顔にしたい」と考えました。とはいえ、人がたくさん集まる密な状況は避けなければ行けないデリケートな時期です。
「ならばカレーを作って自分で配っちゃおう!」ということでその名も「Carry the Curry!」プロジェクト。
「立川産の新鮮な野菜で仕込んだ千珠特製カレーをご自宅まで届けます!」とSNSで希望者を募ったところ反響が大きく、50食の見込みに対して倍以上の申し込みがあったそうです。
当日は市内の小山農園の小山さんが助っ人に駆けつけてくださり、特製カレーにキャベツの発酵付け合わせとお花まで添えた贈り物を、立川市内や国立、昭島など50カ所以上130食配りました。
しかもこのカレー、「ドア to ドア」のみならずなんと「鍋 to 鍋」!千珠では普段から環境問題に取り組んでいるため、プラスチックゴミを出さないよう、お店の鍋から家庭の鍋にダイレクトにin!という方法にしたそうです。「皆さん喜んでくださってすごく嬉しかったです」と武藤さん。有言実行のバイタリティで見事に目的達成ですね。
カレーを配布した日から休業要請の緩和された5月6日まで、お店を閉めていた千珠。が、しかし!ただ休んでいたわけではありません。
マスク不足の影響が医療機関にまで及んでいた時期。お店が窓口となることで、まとめてマスクを医療機関に届けられるのではないかと考えた武藤さんは、未使用の余っているマスクがあったら1、2枚でもいいので送って欲しいとSNSを通じて呼びかけたのです。
すると、手紙とともにたくさんのマスクがお店に届くように!4月末には1000枚以上集まったため、受け取りを了承した立川相互病院にまとめて送ったそうです。
「飲食店だから食べ物や飲み物を提供するというだけでなく、その時に自分たちができる社会への関わり方があると思うんです」と武藤さん。「生産者、飲食店、地域に住う方、医療従事者の方、地域、社会、環境などはすべて繋がっていて、エネルギーや活動は循環するもの。いずれは自分に還ってくることですから」という言葉が印象的でした。
「今回の新型コロナウイルスは、自分たちが本当に大切にしたいものはなんだろう?という根本的な問を考える機会になりましたし、休んでいる間はスタッフみんなと食材ロスやフードマイレージと言った環境問題についてのDVDを観て勉強会を開いたり意見を共有したり、とても有意義な時間でしたよ」と話す武藤さん。
「これまでは私自身、とにかく忙しくするのが自分の仕事だと思ってきたんです。でも環境先進国といわれるデンマークに行ったり、反対に搾取されているバングラデシュの現状を見たりするうちに、もっとサステナブルな飲食産業のあり方を追求したいと思うようになって。お客様を大切にもてなすためにもやっぱり地産地消が一番なので、千珠ファームを作って畑を始めるんですよ」
と言ってからひと呼吸置いて、「そうそう、それから私、鉄板焼き屋なんですけど、ヴィーガンになるんです!」と驚きの発言。
「もちろん、お店ではお肉を焼くんですけどね。でもこれからはもっと立川の野菜を中心に、立川を丸ごと食べるメニューの開発に励んでいきたいです」と深い胸の内をアツく語ってくださいました。
「安全第一」で誠意ある
経営スタイルを貫くやきとり屋さん
古民家を改装した趣のある店構えが目を引くやきとりの玉屋。新鮮な鶏は定番のむね肉や卵つくねなど以外に、希少部位や内臓系も豊富。旬の野菜とともに、奄美大島の海塩をふって焼き上げる創意工夫の串焼きを楽しむことができます。この春の緊急事態宣言を受け、店舗での営業は自粛しテイクアウト販売に切り替えた玉屋の取り組みについて、店長の鵜飼祥平(うかい しょうへい)さんにお話を聞きました。
4月1日から5月14日まで、店舗での営業を自粛した玉屋。飲食店としてお客様と従業員の健康と安全を守る義務を優先したといいます。
「基本的には社員もステイホームでしたが、接触を避けつつ交替で店舗の清掃などをしていました」と鵜飼さん。ほかにも衛生面での意識を高めるためのマニュアルを作り直したそうです。
「お客様はもちろん、従業員や関わるすべての方に安心して来店していただくことが大切だというのが、私たちの考えです」と潔い表情でお話ししてくださいました。
店舗営業を休み、テイクアウト販売にシフトした玉屋。
「日頃の感謝を込めて、原価にとらわれず、お客様に満足していただけるメニュー作りをすることになり、幹部同士で話し合いながら内容を決めました」と話す鵜飼さん。
せせり、もも肉、つくね、長ネギ、ししとう、玉子焼きが詰め込まれた色鮮やかな焼鳥重や、もも肉とささみにタルタルソースとキャベツ、付け合わせを添えたチキン南蛮丼、健美鶏もも肉と玉ねぎを青梅もみじ卵でとじ、三つ葉を散らした炭焼き親子丼といった丼メニューのほか、各種やきとりや野菜焼き、ポテトサラダやとり皮ポン酢などのおつまみ・お惣菜メニューもテイクアウト販売。
「前から気になっていたけれどなかなか来られなかったという近隣の方やリピーターの方も多く、ありがたかったです」と鵜飼さん。常連のお客様だけでなく、通りがかりの方がよく買っていかれたのだとか。
趣向を凝らしたパッケージや盛り付けも女性のお客様から「おしゃれ!」と反響があったようです。気持ちのふさぎがちな自粛期間中だからこそ、おなかも気持ちも満たしてくれるような美味しいテイクアウトメニューは日々の楽しみの一つですよね。
焼鳥重 税込1,000円
チキン南蛮丼 税込700円
炭焼き親子丼 税込600円
緊急事態宣言解除後も、6月は21時まで、7月からは22時までの営業としている玉屋。実は世の中の流れを予測し従業員の働く時間改革も含めて、年始の社員会議で「3月から22時閉店にシフトする」と決めていたそうです。
「その矢先のコロナ禍で、私たちの考える店創りが後押しされたような感覚なんです」という鵜飼さん。「当社の代表は創業当時から21時閉店を考えていますし、数年以内にはそうなっているかもしれません。この1、2年で収益が出せるよう、お客様にもご理解いただきながら共に作り上げていきたいと思います」と今後の展望を話してくださいました。
7月からはランチとテイクアウトを一旦やめ、状況が落ち着いている期間はしっかり対策しながら店舗での営業していく予定とのこと。
「出勤スタッフの起床時検温と体調報告の遵守、マスクの着用や手洗い、うがい、洗顔の徹底、お席の間隔を十分に開けてソーシャルディスタンスを確保したり、毎日の清掃や換気、70%以下での席数営業など、自分たちができる最大限の注意を払ってお客様をもてなしたいと思っています。ぜひ安心してご利用ください」
カウンターでいただく焼きたてのやきとりの美味しさは格別。安心して通えるお店があるというのは嬉しい限りです。
ご来店の際は直接店舗に営業時間の確認を行なっていただいた上でのご来店をお勧めいたします。