立川駅南口から歩いてすぐのアクセサリーショップ。シルバー、ステンレス、真鍮、インディアンジュエリーを多数取り揃えています。そのほか、天然石、ビーズ、レザーアイテムなども豊富。つい長居したくなるほどのラインナップです。オープン24年目を迎える同店で、創業当時から人気なのがオリジナルアクセサリー。幅広い世代の方が「世界に1つ」を求めて来店するそうです。
早速、お店に入ると、店長の木下秀義(きのした ひでよし)さんが笑顔で迎えてくれました。木下さんは 20 年のキャリアを持つアクセサリーの達人。今日は、木下さんに相談しながらペンダントを作ります。
今日はよろしくお願いします。それにしてもすごい品揃えですね!
ありがとうございます。いろいろなパーツがあるのでじっくり見て決めてくださいね。
木下さんやスタッフさんのネックレスも素敵だし…目移りしちゃいます。選び方のコツってありますか?
ペンダントなら最初にペンダントトップを決めるといいですよ。自然と他のパーツも決めやすくなります。
ブルーが好きだからターコイズが付いたものにしようかな。おすすめはありますか?
ターコイズなどの天然石は、産地が同じでも色味や風合いが違うのが面白いですよね。こちらの2つはいかがですか?
両方とも素敵だけど、こちらのドロップ型にします。
分かりました!では、この調子でチェーン部分のパーツも決めましょう。
チェーンのパーツはさらに多いですね!
チェーンで印象が変わるので、シルバービーズは豊富に取り揃えています。燻し加工のビーズは、カジュアルなテイストが好きな方にもおすすめです。
今回は、普段遣いできるデザインにしたいんですが、ぴったりのパーツってありますか?
華奢なシルバービーズを中心に組んでみましょうか。ゴールドのボールビーズ (14KGF) も使うと肌なじみの良いデザインになります。
本当だ!こんなに柔らかい雰囲気になるんですね。
ハートやクロスモチーフのチャームを間に入れるのも可愛いですよ。パーツ選びはたくさんあって迷うと思うので、ぜひ相談してください。お客様の頭の中にあるイメージを具体化しながら、一緒に「これだ!」と思えるものを探します。
だんだん形が見えてくるとワクワクしますね。
最後に紐と留め具を決めましょう。まずは紐ですが、おすすめは強くて切れにくいワックスコード ( 蝋引き糸 ) です。
こちらもバリエーション豊富!色や太さがいろいろ違うんですね。
今回はオフホワイトの紐にしてみましょうか。留め具は、輪に棒状の金具を通す「マンテル」がいいと思います。デザインのアクセントにもなるのでおすすめです。それでは仕上げに移りましょう。
手作業でビーズを通していくんですね。それにしても速い!
ありがとうございます。お店の混雑状況にもよりますが、当日のお渡しもできますよ。
手さばきに見惚れちゃいますね。木下さんは入店前もアクセサリーは作っていたんですか?
いえ、入店してからですね。でも、元々ネイティブアメリカンの文化に興味があって、インディアンジュエリーが好きだったんです。通っていた専門学校の卒業論文のテーマにも選ぶほどハマっていました。
ホライズンに出会ったのもその頃ですか?
そうですね、19 ~ 20 歳の頃でした。立川にもよく遊びにきていて、そこでホライズンを見つけて。実は当時、店の外にあったアルバイト募集の広告を見て、その場ですぐ電話したんです。
すごい行動力!
面接では「いつ来れるの?」としか聞かれなくて即採用でした(笑)そこからかれこれ 20 年近く、お客様にも自分にもアクセサリーを作っています。
わ、お話を聞いている間にペンダントが完成しました!本当にあっという間。
最後はワックスコードを火で炙って処理します。留め具をつけて完成です。
付けてみると想像以上にかわいい…すごくしっくりきました!ありがとうございます。
気に入ってもらえてよかったです。ちなみにメンテナンスは、パーツ代以外無料です。その時に紐の種類や長さを変えたり、パーツを追加したりする人もいますよ。気軽に来てくださいね。
オリジナルのプラモデルやフィギュアを手がけるコトブキヤ。2016年に同社の直営店としてオープンしたのが「コトブキヤ立川本店」です。各種キャラクターグッズを取り揃えるほか、店内にはフィギュアの撮影スポットやファン同士の交流を深めるコミュニケーションノートの設置など、ユーザーに嬉しいサービスも。アニメファンの聖地としても親しまれているお店です。
数々のヒット作を生み出してきたコトブキヤですが、その要とも言える仕事が原型師です。今回は、プラモデル原型師を率いるリーダーの田村 充伸さんと、『フレームアームズ・ガール』をはじめとする美少女プラモデルシリーズを担当する原型師の西丸 芳弘さんに、プラモデルの製作裏を伺ってきました。
プラモデル原型チームを率いるリーダーとして、自社の原型師のみならず社外パートナーのディレクション業務を担当。自身も原型師としてキャリアを重ね、『ヘキサギア』シリーズのほか、オリジナルメカシリーズの原型を手掛けてきた。
子どもの頃からプラモデル製作に親しんできた筋金入りのプラモ好き。学生時代から原型師を目指してデジタル原型の技術を学ぶ。1ユーザーとしてファンでもあった同社へ入社し、今年で11年目。美少女プラモデルの原型を手掛ける。
※肩書きや内容は取材時のものです。
『フレームアームズ・ガール』もそうですが、コトブキヤさんの製品ってディテールが凝ってますよね。リリースまで長い時間がかかりそうですが。
田村(以下敬称略):製品にもよりますが、企画からリリースまでの全体だと約1年半、そのうち原型師が担当する期間が半年ほどでしょうか。
思った以上に長い!根気のいるお仕事ですね。
田村:リリースまでにいろいろな段階を踏むので時間がかかるんですよね。大体の流れを説明すると、①企画→②設計→③開発・金型製作→④生産→⑤販売、という感じで、僕たち原型師は②設計にあたります。デザイナーさんからの仕様書をもとに、原型を製作。製造チームに納品するまでが僕らの仕事です。その後の工場とのやりとりは、製造チームが担当します。
お仕事はどのように進行するんですか?
田村:まず初めに、企画者と担当原型師が製品の仕様について打ち合わせをします。自社の原型師はプラモデルチームとフィギュアチームで各10人いて、一人ひとりが複数のプロジェクトに関わりながら同時進行するんですよ。僕は、原型師たちの得意分野に合わせて仕事をお願いして、スケジュール管理をします。…ごく稀に無理をお願いすることもありますけどね(笑)
仕様書にはどんな情報が記載されてるんですか?
西丸:美少女プラモデルの場合は割とざっくりしていて、平面の絵だけですね。斜め前と斜め後ろから見たイラストだけの場合も多いです。でも、企画内容によっては、全方向のデザインが分かる資料の場合もあります。
少ない情報で作業するのは大変そうですね。デジタルの作業で実体を想像するのって難しくないですか?
田村:使うソフトにもよりますが、作業自体はアナログとあまり変わらないんですよ。四角い塊から切り出したり、なめらかにしたり。資料で見えないところや作業中に迷う部分は、企画担当やデザイナーさんに確認します。
西丸:僕らはデジタル作業に慣れているので仕上がりは大体想像できます。あとは3Dプリンターで出力するので、そこで擦り合わせる感じですね。可動するプラモデルなので、関節の動きを確認するためにパーツの出力は頻繁にします。イメージしやすいように見本を持ってきました。これはフィギュアなので、1パーツの単位が大きいですが、プラモデルの場合は製品時とほぼ同じ分割をした細かいパーツ単位で出力します。
3Dプリンターで出力したフィギュア見本
質感がそれぞれ違いますね。グレーの方は毛羽立っていて、白い方はすべすべしてます。
西丸:いくつかの3Dプリンターを用途別に使い分けています。グレーの方を出力したプリンターは低コストで速い機種です。フィギュアの大きさや印象を確認するためのもので、プラモデルでは使いません。白い方を出力したプリンターは高精度な機種で、プラモデルの最終出力でも使います。
出力にどのくらい時間がかかるんですか?
西丸:3cmくらいの大きさでグレーの方は約30分、白い方は約6時間かかります。もう少し大きいものだと一晩でしょうか。退勤前に出力開始して、翌日に確認するなんてこともありますよ。
停電したらと思うと怖いですね!
田村:ちなみに高精度プリンターは車1台買えるくらいの値段です。樹脂もそれなりの価格なので、いろいろな意味で緊張感がありますよね(笑)
お話を聞いていると、地道な作業の連続なんですね。
田村:そうですね。あと、原型データを工場に納品して金型を作るんですが、1回では終わりません。当初の造形が出ないとか、必ず課題があるので何度もテストを繰り返します。西丸が原型を担当したこのプラモデル(源内あお【創彩少女庭園/フレームアームズ・ガール】)のハンドパーツやスカートの細かいレースも修正を繰り返して完成しました。
西丸さんが原型を担当したアニメ『フレームアームズ・ガール』の主人公「源内あお」のプラモデル。
本当に細部まできれいですよね。爪までちゃんとある!
西丸:パーツ数は200くらいなので、かなり多いですよね。スクールバックにはウドラのキーホルダーがついているんですよ。約1cmのサイズでウドラらしさを表現するのに苦労しました。最近だと、今年の6月に発表したフレームアームズ・ガールと他作品のコラボシリーズ『クロスフレーム・ガール ゴルディーマーグ』も結構大変でしたね。とにかくパーツ数が600と多いし、小さいのに可動もしなきゃいけないし、と頭を抱えました。
@UDOLLANDO
皆さんの頑張りが、作品の世界観を作り上げているんですね。仕事の緻密さに驚きました。
西丸:でも、やっぱりものづくりが好きなので手を動かしているときが一番楽しいです。今はデザイナーさんからキャラクターの表情を任せてもらうことがあって、それも嬉しいんです。もちろん考えて形にするのは大変ですけど、好きなことに一番集中できる時間というか。これからもずっと作っていたいし、手を動かしていたいですね。
© KOTOBUKIYA ©KOTOBUKIYA / FAGirl Project
応援購入サービス「Makuake」にて応援購入金額1億4,500万円超え、4,800%を達成した話題のプロジェクト。アニメーター・加々美高浩氏と、コトブキヤを代表する原型師・白髭 創氏が生み出した「ARTIST SUPPORT ITEM ハンドモデル」は、トップクリエイターによる技術の集大成。関節の曲がりや筋肉の膨らみなど、人間の手の構造を忠実に再現したハンドモデルです。
©加々美高浩 © KOTOBUKIYA
原型師にファンが付くと聞いて最初は驚きましたが、コトブキヤのプラモデルやフィギュアを見て納得。本当にギミックが細かくて惚れ惚れします。リリースまでに苦労したエピソードを笑顔で話していたお二人も印象的でした。大変なことも「ものづくりが好き」という気持ちの前では、楽しさに変わってしまうのかも。クリエイターの底力を見た気がします!
素材選びから製作まで、プロの技を目の当たりにしたアクセサリー作り。完成したペンダントには、木下さんが培ってきたセンスと技術がギュッと詰まっていました。自分のためにパーツを選ぶ時間も楽しく、既製品を買う時とは一味違う満足感。木下さんによると「スタッフによって得意分野が違うので、幅広いデザインに対応できますよ」とのこと。次はどんなのにしようか…と新しい楽しみができました。